<特集>甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、高齢の犬でしばしばみられる内分泌疾患である。診断については多くの場合曖昧であり、意外な臨床症状が実は甲状腺機能低下症に起因していた、ということもあるため、なかなか確定診断に至らない場合もある。しかし、犬の甲状腺機能低下症でもっとも問題となるのは過剰診断である。ホルモン濃度の値によって甲状腺機能低下症であると誤診し、必要のない治療を受けている動物は少なくない。本特集では、甲状腺機能低下症の適切な診断のために必要となる、病態、臨床症状、スクリーニング検査異常に関する解説や、「身体の新陳代謝を活発にさせる」甲状腺ホルモンの役割について、また、甲状腺ホルモンの診断に複数の検査項目を組み合わせることの重要性、超音波検査による甲状腺描出および評価方法、甲状腺疾患以外の原因により血中甲状腺ホルモン濃度が低下する「ユウサイロイドシック症候群」の症例を紹介する。