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よりよい小動物医療環境の創成をめざす臨床情報誌【インフォベッツ】(infoVets)

よりよい小動物医療環境の創成をめざす臨床情報誌【インフォベッツ】をご紹介致します。

2015.07.15 発行

【インフォベッツ】176号

<動画リンク>

『infovets』掲載記事「動物のQOLを上げるために~リハビリを理解しよう:脊髄疾患(変性性脊髄症、脊髄梗塞など)」のうち、変性性脊髄症(DM)、線維軟骨塞栓症(FCE)症例の動画です。DMは、近年ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに好発する疾患として注目されています。FCEは線維軟骨が脊髄の微細血管を塞栓するために起こる疾患で、塞栓のレベルによってさまざまな脊髄障害を呈します。いずれも外科的な治療法がない疾患ですが、ゆっくりと進行し、最後には呼吸不全のために死に至るDMに対し、FCEは非進行性で数日~数カ月間をかけて、改善に向かうところが異なります。記事では、DM、FCEの病態、診断、治療について解説しています。詳細は『infovets』176号、98~103ページをご覧ください。

動画タイトルをクリックすると、Youtubeへジャンプします。

■動画1 DMの初期症状(症例1:ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、11歳齢)

3カ月前からの後肢のふらつきを主訴に来院。歩行時のふらつきが顕著で、ナックリング様歩行が認められる。椎間板ヘルニアなどが併発していなければ、基本的にDM では疼痛はなく、背弯姿勢は認められない。

■動画2 DMの中期症状(症例2:ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、11歳齢)

■動画3 DMの中期~末期症状(症例2)

発症から2年5カ月経過。後肢は完全麻痺となり、深部痛覚は消失し、自力排尿は不可。前肢の姿勢反応も遅延し、滑る床では移動することも困難となっている。

■動画4 DMの末期症状(症例2)

発症から3年4カ月経過。四肢麻痺となり、腹式様呼吸となり、発声障害も認められる。
しばらく前からこのような状態で、自宅看護を行っていたが、腰背部にできた腫瘤が増大してきたとの主訴で来院。この2カ月後に呼吸不全のため死亡した。

■動画5 頸部におけるFCEの症例(症例4:雑種犬、4歳齢)

左側前後肢の急性麻痺を主訴に来院。意識レベルは正常で、頸部痛はなく、左側前後肢の姿勢反応は消失しているが、右側は正常であった。

■動画6 胸腰部におけるFCEの症例(症例5:チワワ、5歳齢)

急性の後肢麻痺を主訴に来院。意識レベルおよび前肢の姿勢反応は正常であったが、後肢の姿勢反応はすべて消失し、わずかに左後肢の随意運動が認められた。後肢の表在痛覚は正常に認められた。MRI 検査を実施したところ、L1~L4椎体レベルの脊髄実質の背側から右側領域に梗塞・炎症・浮腫を疑う所見が認められた。さらに、L1~2椎間の椎間板の変性所見も認められた。

■動画7 症例5の発症から2カ月後

両後肢の姿勢反応に遅延が認められるものの、後肢の随意運動は徐々に増強し、発症1カ月を過ぎた頃からふらつきながらも歩行が可能となった。

<動画リンク>

『infovets』掲載記事「動物のQOLを上げるために~リハビリを理解しよう:脊髄疾患(変性性脊髄症、脊髄梗塞など)」のうち、変性性脊髄症(DM)、線維軟骨塞栓症(FCE)の症例の様子やリハビリテーションを実施する様子を映した動画です。DM、FCEはいずれも外科的な治療法がなく、リハビリテーションがその中心を担います。記事では、DM、FCEへのリハビリテーションの方法や進行に合わせたプログラムについて解説しています。詳細は『infovets』176号、104~108ページをご覧ください。

動画タイトルをクリックすると、Youtubeへジャンプします。

■動画1 DM初期の歩行(ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、9歳齢)

後肢の歩幅の違い(後肢運動失調)と爪を擦る音が確認できる。

■動画2 DM疑いの歩行(ラフ・コリー、10歳齢)

後肢不全麻痺、ふらつきが目立ち、立ち上がりにも努力が必要。

■動画3 動画1のウェルシュ・コーギー・ペンブローク(ポチの車イス製)

車イスに乗ることで後肢の随意運動が阻害されないことがわかる。

■動画4 水中トレッドミル

下半身が動揺しにくい水深で行う。手を離しても歩行可能であるが、前後の協調不良が明らかである。

■動画5 動画2のコリー(adoworks製)

随意運動はあるがナックリングも強く出ている。このような状況では肢端部保護のため、靴などの使用が必要である。

■動画6 中期の歩行

後肢への負重は不可能で前肢のみで移動する。そのため相当な負担が前肢にかかり、前肢帯筋の配列などにも変化をきたす。

■動画7 中期の車イス歩行

後肢の随意機能は若干残っているがほぼ引きずっている(おさんぽソックス:アニマルオルソジャパン製)

■動画8 4輪車イス
■動画9 ナックリング用サポーター(anifull製)

前肢のナックリングにサポーターを装着している。このサポーターは後肢にも使用可能(動画提供:やさか動物病院 前島さおり先生)

■動画10 ピーナッツボールを使用した起立訓練

症例はFCEではないが、このようにボールなどを使用すると起立訓練は行いやすい。

■動画11 FCEを疑うペキニーズ、1歳8カ月齢

発症5週目、リハビリ開始1週目、匍匐前進で進もうと努力している。前肢の姿勢反応はまだ出現していない。

■動画12 動画11のペキニーズの発症8週目

左前肢のナックリングが強く残っているが、滑りにくい平らな床の上を少しずつ自力で歩行させる(転倒に注意する)

■動画13 食事時を利用した起立訓練(飼い主提供)

<特集>高齢動物の口腔管理

近年、ペットの寿命が伸びるとともに高齢化に伴う疾患が増加していますが、口腔内疾患はその最たるものです。とくに歯周病に関しては、3歳齢以上の犬の約8割に認められると言われており、ふだん通院している患者のなかにも、実は治療が必要な症例がいると考えられます。また口腔内腫瘍の発生率も上昇しているとの調査もあり、口腔内疾患への対応は今後不可欠になると言えるでしょう。本特集では、高齢猫、高齢犬それぞれにみられる口腔内の変化と疾患、外科的治療にあたっての麻酔の注意点、口腔内腫瘍の診断治療について、具体的な方法と豊富な症例写真を交えて解説していただきました。

  • ▼高齢動物でみられる口腔内変化と疾患~高齢猫…藤田桂一
  • ▼高齢動物でみられる口腔内変化と疾患~高齢犬…高橋 香
  • ▼高齢動物における麻酔の注意点…市橋弘章
  • ▼高齢動物の口腔内腫瘍~早期診断、治療そして管理~…川村裕子

<ミニ特集>猫消化管好酸球性硬化性線維増生症

  • ▼猫消化管好酸球性硬化性線維増生症は消化管のみに発生するのか…尾崎清和
  • ▼長期に寛解が維持されている猫好酸球性硬化性線維増生症の1例…山下傑夫

<Study>

  • ▼高齢動物の食事管理…奈良なぎさ
  • ▼マダニの生態と予防の重要性…高野 愛、伊藤幸枝、下田 宙、濱崎千菜美、前田 健
  • ▼犬の乳腺腫瘍の細胞診と炎症性乳癌…島田優一、白畑 壮、鈴木義之

<連載>

  • ▼僧帽弁閉鎖不全症を学び直す−しっかり診断、適切な治療へ−
    [第2回]僧帽弁閉鎖不全症の病態生理と診断(後編)…高野裕史、上地正実
  • ▼Emergency CASE CONFERENCE 夜間救急の現場から̶まず患者を救うために
    [第2回]熱中症の症例が来院したら…中村篤史
  • ▼臨床徴候から神経学的検査へ
    [第2回]脳幹・小脳疾患…金園晨一
  • ▼動物のQOLを上げるために~リハビリを理解しよう
    [第2回]脊髄疾患(変性性脊髄症、脊髄梗塞など)…高橋文孝
    [第2回]脊髄疾患(変性性脊髄症、脊髄梗塞など)…長坂佳世
  • ▼アレルギーを制することが、皮膚病コントロールへの道である
    [第2回]スキンケアとシャンプー療法…川野浩志