<特集1>猫のリンパ腫最前線
リンパ系細胞が腫瘍性に増殖することにより、腫瘤などの病変が形成されるリンパ腫は、猫においては1,000頭当たりおよそ1~2症例と、ほかの動物種に比べ発生頻度が非常に高いと考えられている。また、猫の悪性腫瘍のなかでも、リンパ腫の発生頻度はもっとも高い。これまではFeLVやFIV感染猫において発症することが多かったリンパ腫だが、近年、ウイルス感染が関与せずに自然発症する症例が増加しており、臨床的挙動や予後も、以前と比べてかなり変化していると考えられている。
本特集は、発生部位に基づいた解剖学的分類ごとの臨床的特徴、予後と予後因子、Kiel分類を基盤とした細胞形態学的病型ごとの特徴や、悪性度に基づいた治療指針など、猫の消化管型リンパ腫の診断できわめて重要な位置を占める腹部超音波検査・内視鏡生検、また胃の高悪性度リンパ腫と診断した症例、診断のために消化管腫瘤の外科的摘出術を実施した症例など、猫のリンパ腫における最新知見を収載した。