<特集>ファンコーニ症候群
ファンコーニ症候群の病態は、腎機能不全ではあるが、いわゆる日常診療内でよく遭遇する糸球体機能不全とは全く異なる病態であり、治療方法も、いわゆる腎不全とは全く異なっている。また他国同様、日本においても、稀な疾患としてこれまで獣医師にほとんど注意を払われることはなかった。ファンコーニ症候群は、バセンジーという日本では飼育頭数の少ない犬種の遺伝性疾患であるため、日常診療で遭遇する機会も少なく、的確に診断されていなかったり、診断されたとしても遺伝性疾患ということで治療がなされなかったり、または糸球体腎不全と同様の誤った治療を施されていたことも数多くあったと思われる。
本特集では、ファンコーニ症候群そのものについての情報だけではなく、疾患を理解するために重要な尿細管障害と糸球体障害の相違、治療の骨子となる代謝性アシドーシスについてブラッシュアップした情報を掲載した。