<特集>猫の動脈血栓塞栓症
猫の動脈血栓塞栓症(ATE)は、遠隔地で生じた血栓が血流に乗り、突如動脈の塞栓を引き起こすことによって起こる致死率の高い疾患であるが、その死亡原因は合併症によることが多い。とくに心筋症の合併症として非常に重要であり、肥大型心筋症の猫の33~50%がATEを合併するといわれ、臨床の現場でも比較的よく遭遇する病態である。合併症の正確な判断と迅速な対処が、生存率を高めるためには非常に重要である。本特集では、ATEの具体的な病態や診断方法に加えて、合併症の観点からも具体的な症例を交えて解説している。また、ATEは予後が悪い病態であることから、臨床的に重要である予防についても考察した。